令和4年花火入門
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円筒形の花火は上空で四方八方に星を飛 散しないため、真ん丸くは開きません。欧米 の花火は日本の花火とは違う色合いや、上空 で何段にも咲く珍しい玉などが特徴です。小 さい寸法の玉ではどちらも派手さの甲乙は つけられませんが、5号玉(15cm)以上は大 きくなるほど、日本の花火の精巧で華麗な表 現力が顕著に現れます。 また、日本の花火師は和紙を巧みに利用して、二重、三重に同心円(芯入花 火)をつくる技術を完成しました。どこから見ても真ん丸で色の変化と消え際 のよさ、という究極の調和美を完成させたのは、日本人の持つ美意識と職人気 質の成果といえましょう。文字どおり先人を含む多くの花火師の血と汗と知恵 の結晶です。最近では四重芯、五重芯にも挑戦しており、日本の花火師達の芸 術的探究心に限りはありません。 (10)打揚花火の進化 花火大会の演出としては、 近年は星の色や花火の形状に新たな創作が見られ、いろいろなバリエーショ ンになっています。色は水色、ピンク、レモンイエローなどのパステルカラー が増え、よりカラフルになってきました。形も円球状ではなく八方に星を飛ば す「八方咲き」系統や、星が時間差で発光する「グラデーション」系統などの花火 玉が通常の花火大会でも多く使われるようになりました。 通常の電気点火による広範囲な展開のほかに、コンピューターを使用した点火器による、音楽とシンクロさせた演出方法も取られています。 八重芯物 22

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