令和3年夏 花火入門
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12 (2)昇のぼり曲付きょくつき(昇曲のぼりきょく導付どうつき) 玉の外側上部に取り付けられているもので、代表的な種類では、ヒューという笛の音を出す「昇のぼり笛付ふえつき」、光の尾を真っすぐに引いていく「昇のぼり朴付ぼくつき」、小さい花を段々に咲かせていく「昇のぼり小花こばな」などがあります。 「半割物」とは、玉が上空の闇の中で開き、後からたくさんの小さな花が一斉に開くもので、「千輪」といいます。 (3)昼の花火 昼間に打ち揚げる花火は、「ぽか物」が主流で、まず信号雷があります。お祭りや運動会、あるいは各種イベントの開催合図を告げるもので一発の打ち揚げでドーンと一つだけ音が鳴るものを「号砲ごうほう」、三つ段差で鳴るものを「三段雷さんだんらい」、五つは「五段ごだん雷らい」、段差がなく複数が一斉に鳴るものを「万雷ばんらい」といいます。 また、色煙を柳状に垂れさせる「彩煙さいえん柳やなぎ」や現在では珍しいパラシュートで発煙筒を吊り色煙の線で竜を描く「煙竜えんりゅう」、パラシュートに旗が付いた「旗物はたもの」や人形や動物をかたどった紙製の袋を漂わす「袋物ふくろもの」などがあります。 「割物」では色煙の星を菊花型に開花させる 「煙菊えんぎく」 などがあります。 昼花火の面白さは、音や煙の効果を現すものが主流で、空の色、雲の量、 風向き、日差しの強弱などにより変化する情景美といえます。 (4)玉ぎょく名めい 玉名とは、打揚花火一発ごとに付けられた日本独特の花火の名前のことです。この玉名の付け方には一定の決まりがあり、その花火玉が打ち揚がってから消えるまで、どういう現象を現すかを表現するもので、歌舞伎の外題げだいにも似ており難解ではありますが、花火の内容や開いたときの情景を玉名で正確に思い描くことができるようになれば、まさしく本格的な花火通といえます。

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