令和3年夏 花火入門
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5 1.花火の歴史 花火の原料となる火薬(黒色火薬)の発明については諸説ありますが、古くは中国における錬金術・煉れん丹たん術に関係する紀元前の時代にさかのぼります。 12世紀ごろになると、黒色火薬は実用化となり火器などの軍事に利用された後、「爆竹」などの花火として使用されるようになり、中国からイスラム諸国を経てヨーロッパへ伝わったと考えられます。 ヨーロッパでの花火は、14世紀にイタリアのフィレンツェでキリスト教のお祭りとして始まり、その後ヨーロッパ各国に広まったといわれています。 日本では16世紀の戦国時代に鉄砲「火縄銃」とともに黒色火薬が伝来しましたが、当初は鉄砲の他に軍事的通信手段である「のろし」での使用が主流で、現在のような遊びや観賞用の花火が登場するのは、江戸時代に入ってからとなります。 日本での花火観賞の記録としては、天正17年(1589年)7月に伊達政宗が米沢城で見たというものや、慶長18年(1613年)8月に徳川家康が駿府城で見たという記録がありますが、いずれも唐人(明国人)が披露した花火でした。 また、家康が花火を見た15年後の寛永 5年(1628年)に、天海僧正が浅草寺に来 た際に隅田川で船遊びをして花火を楽しん だという記録もあります。 その後、武士の火術にも変化が見られ、 江戸の大川端(隅田川下流)にある大名の 下屋敷などで武士の花火が披露され人気 を博しました。 花火は法律用語で「煙火えんか」とよばれており、火薬類を燃焼または爆発させることにより、光 (色火)、音、煙を発生させるもので、観賞、信号、がん具などに用いられています。 花火を大別すると花火大会などで使用される打揚花火や仕掛花火などの「煙火」と、一般家庭などで使用されるおもちゃ花火などの「がん具煙火」とに分けることができます。 花火とは

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